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宿坊運営における女性の役割―武州御岳山の婚姻の事例を中心に―
by 邱琡雯, 2019-12-05 13:09, 人氣(1230)
髙田彩  2018年69日及び10日に、帝京科学大学において「宗教と社会」学会第26回学術大会が開催され、本学研究室からは、以下の大学院生2名が発表しました。

髙田さんは、山岳霊場の武州御岳山における御師(参詣者の祈禱・宿泊などの世話をする)の女性家族の役割について、主に御師の妻に対する聞き取り調査から得られたデータに基づいて分析を行いました。本発表は、現在、他の山岳霊場においてあまり活動が見られない御師が、なぜ御岳山においては存続しているのかという点からも注目されます。
 分析は、御師家の妻が宿坊運営においてどのような仕事をしているのか、冠婚葬祭などの山内の諸儀礼がどのような社会関係のもと行われているのか、御師家の妻がどのような経緯で嫁いでくるのか、という観点から行われました。
 その結果、講員(信仰者)以外の観光客などの宿泊客受け入れに伴って、業務内容の変化(妻は宿坊運営業務の実質的責任者となる)、山内の女性が属する組織の変化(社会関係は弱化するが、宿坊運営では相互扶助の強いつながりがある)、婚姻儀礼の簡略化や通婚圏の変化が見られました。
 質疑応答では、他の山岳霊場においても御師の妻の役割に注目した先行研究は少ないこと、また、様々な領域の女性研究にも接続できる内容であることなどが指摘されました。
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